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【第11回】あのぅ、問題社員って

6 min

 職場のモヤモヤを「すっきり」させるブログ、
まだ開けていない、職場の扉」を、

ご愛顧いただきまして、
ありがとうございます。
 パーソナリティ(personality)を務めます、
テラボ(terrabo)です。

 職場で聞けるようで聞けない、
あのぅ、」のモヤモヤを、
あなたの知らない扉をそっと押し開けて、
すっきり解消させるブログです。 
 今夜の話題は…

 夜行バス(Midnigh Express)へのご乗車、
ありがとうございます。
 このバスは、「問題社員」行き、
直行便となります。
 お荷物の積み込みが整い次第、
発車いたします。

 前回を以て、「ふと、」から始まる
第1シーズン(season)〔第1回~第10回〕

の仕納めとなりました。

 毎度のこと、話題の本筋から外れっぱなし
ですが、そもそも、このブログ自体が、
講義〔正課〕からスピンオフした課外ルーム

なので、ご容赦ください。

あのぅ、」から始まる第2シーズンを通じて、
みなさまの「スキマ時間」が「ステキな時間」
に変身することを、心より願っています。

 第2シーズンの幕開けとして、
ずっしりと重そうな内容を、
斬新な切り口と軽快なトークで
高速道を走り抜けていきます。


 先回(第10回)では、

流転する職場において、
絶え間なく人間関係のトラブルが生じる中で、
それらに対処するための処方箋

についてお伝えしました。

 今回登場する「問題社員」は、

職場における人間関係のめぐり合わせ
チグハグなことによる結末

というよりも、むしろ、

自ら職場にトラブルを巻き起こしかねない
人柄や素行

というイメージです。
 問題生徒(学生)の大人版でしょうか。

 これには、企業の経営者やフリーランス、
士業の方は含まれず、あくまで、雇われる
労働者の立場という点がミソです。

 そこで今夜は、二階建てバスの
特別仕様席(Executive Seat)で、
問題社員」について、
思いをめぐらしてみましょう。
 まれに、定期ルートを外れますが、
運航には支障がありませんので、
ご安心ください。
 それでは、出発いたします。

1 誰にとって「問題」なの? 

 企業は、人為的な組織として構成されていて、
その組織の一員たる人材は、競争力の源です。

 そこで、その企業組織の目線から
「問題」社員をとらえると、
「組織の維持・発展に望ましくない従業員」

となります。

 実は、企業組織という目線を見失うと、
職場の「問題」社員という「問題」自体が、
個人間のしがらみに矮小化されてしまいます。

 例えば、同僚の目線から、
「あの人は迷惑だし、とても不快だな。」
と日頃から感じたならば、個人的に、
「厄介な人物」に映るでしょう。

 しかし、それは同時に、
その仕事への動機づけ(motivation)や
生産性を低下させてしまうのですから、
企業組織の目線では、

「望ましくない従業員」と判断される
おそれがあります。

2 「問題」の程度

 問題社員の「問題」の程度と、
それに対する企業の対応との関係について、

① 程度が軽微であれば、
 同僚や上司からの「口頭注意」相当、
② それなりの程度であれば、
 事実上の「左遷」相当、
③ 程度が社会的に酷(ひど)ければ、
 重い「懲戒処分」相当

のように、大雑把に分けてみると、
イメージが湧(わ)きやすくなります。

3 問題社員のその後(ゆくえ)

 前述の①の「口頭注意」相当であれば、
職場の日常風景の1コマにすぎません。

 大なり小なり、誰しも若かりし頃は、
先輩や上司から、小言の2つや3つ(×10倍)、
注意を受けるものです。
 それを聞くも聞かぬも、我が身次第です。

 ②の「左遷」は、法律用語ではなく、俗に、
「出世コースから外れる」ことを指します。

 ただ、出世コースが情報公開されている組織は
ありませんから、外れたか否か、
本人は判断できないはずです。仮に、
「今回の一件(騒動)で、出世コースから外れたぁ。」
と本人が思ったとしても、人事部門での評価は、
入社当初から裏街道まっしぐら、かも知れません。
(ホントにそうだったら、すぐ辞めたい!)

 ③の「懲戒処分」相当として、話題となるのは、
経歴詐称、服務規律違反などのうち、
特に程度の重たいものです。

 裁判沙汰に至るのは、主に、こうした事案です。

 ここでは、ライト級の事案を扱いますので、
上記①②で述べたような、
人物や業績の評価が低調となるような

軽量級の具体例をピックアップしたい
と思います。

4「問題」の種別とその対応の方向性

 問題社員に係る「問題」の形態や性質に応じて、
4つに大別すると、分かりやすいと思います。

(1) 生活の態度や習慣が問題

 最初は、生活の態度や習慣の問題を取り上げます。
 これを、①だらしない性格、②さぼり性、③素行不良
の3つに大括りにしてみました。

① だらしない性格

 例えば、さすがに無断欠勤はしないが、朝寝坊らしく、
ちょくちょく定時より10分程遅れて、駆け込み出勤をする。

 普通ならば上司や周囲に謝って、
再発防止に努めれば、それほどのお咎めなしで
済まされるでしょう。

 ところが、謝らないばかりか、
「目覚まし時計が壊れた」、「毎日、電車が遅延した」
など、突拍子もない言い訳をするようならば、
遠からず信頼を失います。

 上司に報・連・相もなく、勝手に早退(直帰)する場合や、
着用する仕事着が薄汚れ、不快な臭いが漂ってくる場合
も同様です。

 いずれにしても、不規則、自堕落な私生活
伺えます。

② さぼり性

 例えば、与えられた仕事を怠けていることは、
身近な同僚ならば、だいたい気づいています。

「ちょっとトイレに」
「缶ジュースを買ってくる。」
と言って外出したまま、

なかなか自席に戻ってこないなど、
ギリギリ言えば、服務規律(職務専念義務)
に違背する行為です。

 初等中等教育で、先生から指示された事柄を
きちんと守れない生徒の大人版
ですね。

③ 素行不良

 例えば、勤務態度がつっけんどんで、荒っぽく、
同僚や取引先からクレームが来たり、

ギャンブルが三度の飯よりも好きで、
会社に借金の取立屋がやってくるなど、
いわゆる素行不良生徒の大人版です。

 社内での不倫がこじれにこじれ、
不倫相手が退職する事態に至れば、
従業員間の問題では済まされず、

下手をすれば、刃傷(人情)沙汰になりますし、
経営面では、従業員の不足をもたらし、
新規採用の業務増につながりかねません。

 これらは、おおよそ、
倫理水準の問題に帰着しますので、
採用した企業としては、

社会人の心得、コンプライアンス遵守等を、
適切に教育し指導することになるでしょう。

(2) 職務遂行能力の問題

 仕事が上手くはかどらない場合、遠からず、
身近な上司や部下からの相談を通じて、
「問題」の所在が浮き彫りになります。

 本人側の理由としては、
通常の職務遂行能力が備わっていない場合、
職務に見合う職務遂行能力が十分でない場合

があります。

 前者の例では、

・ 指示された仕事の処理が著しく遅い、
・ 容易な業務を指示しても、周囲に助言を求めないまま、
 完遂できないなど。

 後者の例では、

・ 訪日外国人に対する旅行ガイドの担当者であるが、
 その外国語が堪能でなく、意思疎通ができないとか、
・ 技術エンジニアとして、流体力学や統計力学が
 求められるところ、その基礎知識がないなど。

 いずれにしても、現状では職務が遂行できないので、
会社と本人とが、腹蔵なく話し合って、
より良い方向にもっていくことが肝心になります。


 また、時として、何らかの疾病の疑いがあれば、
一度診察してもらうことで、

事態が好転するきっかけに結びつくかも知れません。

(3) 健康上の問題

 3つめは、広く健康上の問題です。
例えば、先天的、後天的を問わず、
心身の体調が良好でないとか、
職務中、急にうつむいたり、ゆえなく、
ロビーや屋上をうろつくとか、
健康上の問題が考えられます。

 企業としては、本人から体調の具合などを、
プライバシーに配慮しつつ、丁寧に尋ねて、
聴き取ることが肝心です。

 本人の疾病や家庭内の不協和といった
複数の要因が推測されるかも知れません。


 「問題」の本質をわきまえておかないと、
業務遂行上、適切な指示ができず、かえって、
本人も会社も望まない方向に進みかねません。

 労働契約法第5条は、企業の従業員に対する、
心身の健康に関する安全配慮義務を定めていますが、
実務上の取扱いは、

慎重かつセンシティブとなります。

(4) 協調性の問題

 対人関係の問題は、前回(第10回)の
「職場の人間関係のもめ事」で扱いましたので、
そちらの具体例に譲りましょう。

 お互いの相性のミスマッチというより、
攻撃的な態度や、見栄っ張り、嫉妬深い性分なども、
度が過ぎますと、職場の許容量を超えてしまいます。
 

5 職場は「問題」のるつぼ

 企業からすれば、職場で問題を起こさず、
組織に従順で、利益を上げることに役立つ
従業員が望ましいわけです。
 ところが実際上、職場は「問題」のるつぼです。

 初等教育以来、絶え間なく集団行動を刷り込まれ
(imprintingされ)てきた日本人ですが、反面、
世渡り(communication)の技術を学ぶ機会が少ないため、
職場でのもめ事は絶えません。

 その一因は、雇用契約という土台にもあります。
そもそも雇用契約というのは、企業組織のために、
現有の人員を課室という小組織に投入し、
その組織単位で成果を生み出させる仕組みです。

 ひとりの労働者からみれば、
さして面識もない老若男女と一緒に、

望みもしない課室にはめ込まれ、
親しくもない上司から日々業務指示を受け、
それを、こまめに遂行しようとし、
そのために、遅くまで残業をするときも
あるでしょう。

 これで万時、人間関係を上手くやれるほうが
不思議です。

 この点、小学校低学年では、
「みんな仲良くしよう!」と、
事あるごとにしつけを受けるのですが、
高校生以上になると、事実上、

仲間うちだけの友人関係に収縮します。

 それが、雇用関係に組み込まれると、
様々な従業員が、職場に入ったり出たり、

その都度、新たな「問題」が渦巻きます。

 法的に言えば、
雇用契約に基づく使用従属関係の下、
指揮監督を受けつつ仕事をするのですから、
上司が、ぶっきらぼうな性格であったり、
他人への配慮が足りない人柄であれば、
パワーハラスメントのような状態が生じるのは、
時間の問題とも考えられます。

 この点、従業員という選択肢を選ばす、
フリーランスになる、資格を取って独立するとか、
自らが指揮命令をする立場になれば、
従業員としての煩わしさから解放されるわけです。

6 大人版のコミュニケーション

 親しくもなく老若男女が集められる職場において、
良好な人間関係を築き、もめ事を起こさないためには、
適切なコミュニケーションは必要不可欠です。

(1)コミュニケーションの取扱説明書

 しかも世上、誤解を受けやすいのは、
コミュニケーション能力は、

れっきとした技術(skill)に他ならないことです。

 VRゲームのプレイ前には、
そのルールを知るべきですし、
家電製品でしたら、まず、取扱説明書を読みますよね。
 ですから、対人コミュニケーションを順調にするには、
その取扱説明を適切に受けなければなりません。

(2)教育課程のコミュニケーション

 ところが、小学校から高校までの授業風景は、
「この問題が分かる人…」
「(シーン)」
「菊池、どうだ。」
「えっ~と、〇〇ですぅ。」
「そうだ。そのとおり。」

 こんな、おたんちんなやり取りを
12年間続けて、コミュニケーション能力を
身に付けられるほうが不思議です。

 また、諸行事や毎週の朝礼における
校長先生(学校組織のトップ)の話
に費やす総時間は、目の子で見積もって、
10分×1学年当たり40回×12年間=80時間
となります。

 それでは、校長先生の講話で得た知識や知見を、
レポートにまとめてみましょう。
 そうすれば、初等中等教育において、
なぜ、コミュニケーション能力が身に付かないのか、
おおよその見当がつくのではないでしょうか。

(3)実社会でのコミュニケーション

 新卒者が企業等に入って、はじめの一歩から、
社会人としてのしきたりを、

みっちり鍛え上げられる訳が、
ここにあります。 

 見方を変えれば、
新卒一括採用の時期までに、つまり、
教育の課程から社会の実務に移り変わるまでに、
実践的なコミュニケーション能力を備えておくことが、

「問題」社員や人間関係のもめ事を回避する
近道と考えられそうです。

「あのぅ、問題社員って」と、
やけに気にかかったら
技術としてのコミュニケーション」の扉を、
そっと押してみましょう。
 あなたらしい未来が適(かな)い始めるに

違いありません。

 そろそろ、目的の停留所が
近づいてきました。
 きょう一日、お疲れさまでした。
 次のご乗車の機会をお待ちしています。
 それではまた、近いうちに
お会いしましょう。

 

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